准看護師から正看護師を目指すには
准看護師として働きながら、「正看護師(看護師)の資格を取りたい」と考える方は少なくありません。准看護師と正看護師は業務内容が似ているように見えますが、資格の根拠となる法律や業務範囲、給与水準、キャリアの広がりに違いがあります。本記事では、准看護師から正看護師を目指す際の進学ルート、通信制の活用方法、かかる費用や期間について解説します。
准看護師と正看護師の違い
准看護師は都道府県知事が免許を交付する資格であり、医師または看護師の指示のもとで業務を行います。一方、正看護師(以下「看護師」)は厚生労働大臣が免許を交付する国家資格で、自らの判断で療養上の世話や診療補助を行うことができます。
- 資格の根拠:准看護師は都道府県知事免許/看護師は国家資格
- 業務の独立性:准看護師は医師・看護師の指示が必要/看護師は独立して判断可能
- 給与・待遇:一般的に看護師のほうが高い傾向がある
- キャリアパス:看護師は認定看護師・専門看護師・保健師・助産師などへの進学・取得が可能
こうした違いから、准看護師として現場経験を積んだうえで正看護師を目指す方が一定数います。
准看護師から看護師になるための進学ルート
看護師国家試験の受験資格を得るためには、指定の教育機関を修了する必要があります。准看護師が利用できる主なルートは以下の3つです。
① 看護師2年課程(進学コース)
准看護師の資格を持つ人を対象とした、修業年限2年の課程です。全日制・定時制・通信制の形態があり、修了後に看護師国家試験の受験資格が得られます。入学の要件は、全日制・定時制では准看護師の資格があること(中学校卒業の場合は、准看護師としての実務経験3年以上)、通信制では准看護師としての実務経験5年以上です(通信制の5年は令和8年4月1日からの要件。日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」による)。制度の詳細は文部科学省・厚生労働省の最新情報を確認することをお勧めします。
② 看護師3年課程(専門学校・短期大学・大学)
准看護師の資格有無にかかわらず入学できる、修業年限3年(大学は4年)の一般的な看護師養成課程です。すでに准看護師免許を持っている場合でも、原則として所定の全課程を修了する必要があります。3年課程は2年課程に比べて期間は長くなりますが、より幅広い教育内容を学べるほか、大学卒業の場合は学士(看護学)の取得も可能です。
③ 通信制の2年課程(進学コース)
在職しながら学びたい准看護師にとって、通信制の進学コースは実用的な選択肢のひとつです。主に日本看護協会が運営する通信制課程が代表的で、レポート提出・スクーリング・実習を組み合わせた形式で学びます。勤務を続けながら受講できる点がメリットですが、自己管理と学習時間の確保が求められます。入学要件として准看護師としての実務経験5年以上(令和8年4月1日から)が必要とされており、働きながら学ぶ社会人向けの設計となっています。
費用の目安
進学にかかる費用は、課程の種類・学校の設置主体(国立・公立・私立)・在籍年数によって大きく異なります。あくまでも目安として参考にしてください。
- 通信制2年課程:入学金・授業料・スクーリング費用などを含め、概ね30万〜80万円程度とされることが多い
- 専門学校(全日制2〜3年):公立は年間数万円〜、私立は年間50万〜100万円程度が目安。教材費・実習費等が別途かかる場合がある
- 大学(4年制):国立は年間約54万円(授業料標準額)、私立は年間100万〜160万円程度が目安
費用負担を軽減する手段として、教育訓練給付制度(雇用保険)や、勤務先の奨学金・修学支援制度の活用が挙げられます。看護師2年課程の通信制は「専門実践教育訓練給付金」の対象となる場合があります。制度の適用条件や給付額は変更されることがあるため、ハローワークや各学校に最新情報を確認することをお勧めします。
取得までの期間
- 通信制2年課程:最短2年(准看護師としての実務経験5年以上の要件を満たした後)
- 全日制・定時制2年課程:最短2年(定時制は3年の場合もあり)
- 専門学校・短期大学3年課程:3年
- 大学4年課程:4年
通信制や定時制は在職しながら学べる反面、スケジュール管理が重要です。卒業後に看護師国家試験に合格することで、正式に看護師免許が交付されます。
准看護師で応募できる求人はどのくらいあるか
iACTOR!に掲載中の看護職(看護師・准看護師)の求人(2026年10月1日時点・ハローワーク掲載分33,989件)で、看護師と准看護師の扱いを分けると次のとおりでした。
| 求人の条件 | 求人の割合 |
|---|---|
| 看護師か准看護師のどちらかで可 | 45.8% |
| 看護師のみ(准看護師の記載なし) | 41.9% |
| 准看護師が必須(看護師の記載なし・または歓迎) | 10.8% |
| 看護師・准看護師ともに必須と書かれている | 1.0% |
准看護師でも応募できる求人(「どちらかで可」と「准看護師が必須」)は約57%でした。一方で、約42%の求人は看護師だけを条件にしており、看護師免許を取ると応募できる求人の幅が広がります。
条件ごとの掲載給与
| 求人の条件 | 正社員の月給 | パートの時給 |
|---|---|---|
| 准看護師が必須 | 210,000円 | 1,400円 |
| どちらかで可 | 232,000円 | 1,450円 |
| 看護師のみ | 250,000円 | 1,600円 |
同じ求人(ハローワーク掲載分)の、求人票に書かれた給与の下限の中央値です。外れ値は除いています。施設の種類・地域・役職などをそろえて比べたものではないため、「看護師免許を取ると給与がいくら上がる」という意味ではありません。
准看護師免許・看護師免許の履歴書への書き方は「介護・看護の資格は履歴書にどう書く?」で紹介しています。
看護師資格取得後のキャリア
准看護師から看護師になることで、キャリアの選択肢が広がります。
- 病院・クリニック:より高い職責を担うポジションへの昇進がしやすくなる
- 認定看護師・専門看護師:看護師免許を持つことが取得の前提条件となっている
- 保健師・助産師:看護師国家試験合格が受験資格の要件のひとつ
- 訪問看護・介護施設:管理者要件を満たしやすくなる場合がある
- 海外での就労:国によっては日本の看護師免許が評価される
准看護師として積んだ実務経験は、看護師として働く際にも大きな強みとなります。現場での経験と新たに得た知識・資格を組み合わせることで、専門性の高い看護職としての活躍が期待できます。
まとめ
准看護師から正看護師を目指す主なルートは、通信制・全日制の2年課程進学コースと3〜4年制の一般課程の2パターンです。働きながら資格取得を目指す場合は、通信制の2年課程が選ばれることが多く、教育訓練給付制度などの経済的支援も活用できる場合があります。進学を検討する際は、各学校の入学要件・費用・カリキュラムを十分に比較し、最新の制度情報を公的機関や学校の窓口で確認したうえで判断することが大切です。
よくある質問
働きながら看護師を目指せますか?
通信制の2年課程なら、働きながら学べます。入学には准看護師としての実務経験5年以上(令和8年4月1日から)が必要です。全日制・定時制の2年課程は、准看護師の資格があれば入学でき、中学校卒業の場合は実務経験3年以上が必要です。
准看護師のままでも応募できる求人は多いですか?
2026年10月1日時点のiACTOR!掲載求人(ハローワーク掲載分)では、看護職の求人の約57%が准看護師でも応募できる条件でした。看護師だけを条件にしている求人は約42%です。
准看護師と看護師では、掲載されている給与に差はありますか?
同じ集計で、正社員の月給(求人票の下限)の中央値は「准看護師が必須」の求人で210,000円、「看護師のみ」の求人で250,000円でした。ただし施設の種類や役職をそろえた比較ではありません。
出典:日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」(2026年10月1日確認)。求人の集計:iACTOR!掲載中の公開求人(2026年10月1日13時55分時点、看護師・准看護師の求人のうちハローワーク掲載分33,989件)。