保育士の給料相場・内訳・経験年数や地域別の違いと収入アップ方法
公開日:2026年7月30日
厚生労働省の調査をもとに、保育士の平均給与の相場と基本給・各種手当の内訳を解説します。地域や経験年数による収入の違い、処遇改善加算の仕組み、キャリアアップにつながる収入を上げる方法も紹介します。
保育士の給料相場
保育士は子どもの成長を支える専門職として社会的な役割が大きい一方、給与水準については長年「低い」との声が根強く聞かれてきました。しかし近年は処遇改善策が段階的に実施されており、給与水準は緩やかに改善傾向にあります。ここでは厚生労働省の調査データをもとに、保育士の給料の実態を基本給・手当・賞与の内訳から地域・経験年数・施設種別の違いまで整理し、収入アップに向けた具体的な方法もあわせて解説します。なお、各種手当や処遇改善制度の詳細は毎年度の予算編成や自治体ごとの運用によって変わる場合があるため、最新情報は各施設や自治体の窓口でご確認ください。
保育士の平均給与と月収の目安
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、保育士(保育施設)の平均月収(所定内給与額)はおおむね22万円〜26万円台で推移しており、賞与を含めた年収は320万円〜380万円前後が一つの目安とされています。ただし、これは全国平均であり、勤務先の種別や経験年数によって大きな幅があります。
- 新卒・経験1〜3年:月収 18万〜22万円程度
- 経験5〜10年(中堅):月収 22万〜26万円程度
- 主任・副主任クラス:月収 26万〜30万円程度
- 園長・施設長クラス:月収 30万円以上になるケースも
上記はあくまで目安であり、施設の規模・設置主体・所在地域によって実態は異なります。
給料の内訳:基本給・手当・賞与
基本給
基本給は給与の根幹となる部分で、多くの施設では勤続年数や職位に応じた給与表(号俸表)に基づいて決定されます。公立保育園の場合は地方公務員の給与体系が適用されるため、民間施設と比べて基本給の上昇カーブが安定している傾向があります。
各種手当
保育士の月収には基本給のほかにさまざまな手当が上乗せされます。代表的なものは以下のとおりです。
- 処遇改善等加算手当:国の処遇改善加算制度(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)に基づき、事業者を通じて支給される手当。施設によって支給方法や金額が異なります。
- 役職手当(副主任・専門リーダーなど):処遇改善等加算Ⅱの仕組みにより、一定の研修を修了した副主任保育士・専門リーダーには月額最大4万円程度の加算がある施設もあります。
- 通勤手当:交通費の実費または上限付き支給が一般的です。
- 住宅手当:支給の有無や金額は施設によって大きく異なります。
- 時間外手当(残業代):法定どおりに支払われるかは施設によって差があります。
- 扶養手当・家族手当:公立や大手法人では設定されているケースがあります。
賞与(ボーナス)
賞与の相場は年間で基本給の2〜4ヶ月分程度とされており、公立保育園では地方公務員の期末・勤勉手当に準じた支給が行われます。民間認可保育所では施設の経営状況によって差が出やすく、無認可(認可外)施設では賞与がない、または少額にとどまるケースもあります。
地域による給料の違い
保育士の給与は地域によって顕著な差があります。東京都・神奈川県・大阪府などの大都市圏では、物価・地価の高さを背景に独自の処遇改善補助を設けている自治体が多く、給与水準が全国平均を上回る傾向があります。一方、地方都市や過疎地域では基本給水準が低めになるケースもありますが、住居費などの生活コストが低い場合もあります。
- 東京都・首都圏:月収25万〜30万円台も珍しくなく、都の独自補助が加算される場合があります。
- 大阪・愛知など主要都市圏:全国平均並み〜やや上回る水準。
- 地方・郡部:全国平均を下回るケースもあるが、公立保育園であれば安定した処遇が期待できます。
施設の種別による給料の違い
勤務先の設置主体や施設種別によっても給与水準は異なります。
- 公立保育園(正規職員):地方公務員の給与体系が適用され、安定した昇給と退職金が期待できます。採用倍率が高い自治体も多いです。
- 社会福祉法人・民間認可保育所:国の処遇改善加算を受けており、法人の規模や経営方針によって給与に差があります。
- 株式会社運営の認可保育所:給与体系は企業ごとにさまざま。大手チェーン系は統一した等級制度を持つ場合もあります。
- 認定こども園・小規模保育所:施設ごとに処遇が異なるため、求人票の確認が重要です。
- 認可外・企業内保育所:国の加算が適用されないケースもあり、給与水準の幅が広いです。
保育士が収入を上げる方法
キャリアアップ研修を修了して役職に就く
2017年度から導入された「保育士等キャリアアップ研修」を修了し、副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーといった役職に就くことで、処遇改善等加算Ⅱによる手当加算を受けられる場合があります。研修は各都道府県や指定機関が実施しており、勤務しながら受講できる体制が整っています。
主任・園長へのキャリアアップを目指す
主任保育士や施設長(園長)になることで役職手当が加算され、月収が大きく上がる可能性があります。マネジメント経験を積むことは、転職時の評価にもつながります。
関連資格の取得
幼稚園教諭免許を取得することで認定こども園への転職が可能になり、勤務先の選択肢が広がります。また、社会福祉士・介護福祉士などの資格を取得して福祉分野の別職種との兼任や転換を図る方法もあります。
勤務先・勤務形態の見直し
同じ資格・経験年数でも、施設の種別や所在地域によって給与水準が大きく異なります。現在の職場の給与が処遇改善加算の恩恵を十分に反映していない場合、条件の合う別の施設への転職を検討することも一つの選択肢です。なお、常勤(正職員)と非常勤(パート・派遣)では給与水準や福利厚生に大きな差があるため、働き方の変更が収入に与える影響も事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
保育士の給料は、基本給に加えて処遇改善手当や各種加算が組み合わさって構成されており、経験年数・職位・施設の種別・所在地域によって大きな幅があります。国と自治体による処遇改善の取り組みは継続されており、キャリアアップ研修の活用や役職取得によって段階的に収入を上げていく道筋は整ってきています。制度の詳細や給与の実態は施設ごとに異なるため、求人情報の給与欄や各種手当の内訳を丁寧に確認したうえで、自分に合ったキャリア選択を検討することが重要です。